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公園デビュー


 毎日公園行くことが日課のようになっている。
 現在の事務所は室井親子の住居も兼ねているため、昼間にユウタがいることが多い。部屋にいると仕事をしている私たちに話しかけてくるかゲームをしているかで、ほとんど仕事にならない。女王様の原稿もはかどらない。しかも部屋に閉じこもりっぱなしではユウタ自身にもよくない。
 ということで、室井が原稿を書いている頃合を見計らっては1、2時間、公園に行く。
 歩いて5分ほどの小さな公園。何度か通ううちにどうやらお母さんがたの間に“派閥”があるらしいことに気付いた。
「ちょっと、すごいよ。噂には聞いていたけど本当に公園って眺めていると面白いよ。ボスとかいたりするんだから」
 早速女王様に報告する。
「へー、神林もその中に入ってるの?」
「まさか、いやらしいじゃんそんなの。そんな奴の言うことなんか聞いてたまるか」
「じゃあボスを倒しなよ」
「へっ?」
「ボスを倒せばお前がボスだ」
 公園派閥に興味津々の女王様。
 早速、3人で公園に行くことになった。
 だが日時が悪かった。平日の2時。誰もいない。いるのはホームレスのおっちゃんと、仕事をさぼって(?)時間を潰しているらしきサラリーマン2人。
「誰もいないね」
 なぜかヒソヒソ声の女王様。
「ま、仕方ない、ユウタ遊ぶか!」
 そういってブランコに乗ってもの凄い勢いで漕ぎ始めた。
「キャッホー」
「カンバもやりなよ」
「いや、やらない」
 1人ベンチで読書を始める私。
 ブランコに飽きた室井親子は今度はシーソーや滑り台で遊び始めた。小さな滑り台を本気で滑る女王様。気勢を上げてはいるが、お尻がはまりそうだ。
 そして鉄棒。
 逆上がりをしようとしているようだが、できない。
「なんで昔はできたのに!!」
 体力と体型が違うんだろう。
 そしてーー。
「カンバ!! ちょっと回してよ」
 見ると2人はフワフワドーム(本当にこういう名前かわからないけど、丸いジャングルジムのようなもので、回るやつ)のてっぺんに登り、私にそれを回せと命令しているのだ。
「やだ」
「業務命令だ。早く!! 業務中だろ、今は」
 女王様の声はでかい。そしてかなり特徴がある。
 ぽちぽち集まってきた子供たち、お母さん、サラリーマンもみんな2人に注目し始めた。こんなにはしゃいでいるお母さんは、いや子供も、この公園にはもちろんいない。
「カンバ! なにやってんの、早くしてよ」
 そんな周囲の目も気にせずしつこい親子。ノリノリだ。
 根負けした私はそのドームを回し始めた。
「もっと早く回せーー! わあ、目をつぶると空を飛んでるみたいだ。もっと回せ!!!」
 恥ずかしい、そして重い。ユウタ1人の時は簡単に早く回せるのに。
 もう室井と公園に行きたくない。派閥のボスになるのもイヤだ。

 

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