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スパイ考


 内閣調査室に内閣情報分析官なるものが新設されるらしい。
 9・11の際、アメリカでも情報機関の縄張り争いなどから、横の情報共有がされず、事前にテロ情報をキャッチしながら、生かしきれなかったという報道は多々あった。アメリカにしてそうなのだから、情報の貧弱国の日本はそれ以上の体たらくが容易に想像できる。もちろん省庁間での縄張り意識も強いだろう。
 そこで警察や外務省など様々な機関からの情報を集約し、国の危機管理に関わる情報を分析するのが、この内閣情報分析官だという。
 だが、こんなに情報に対し緩い日本で、本当に様々な情報がきちんと分析されるものなのか。また集約されてくる膨大な情報が本来の目的とは違った使われ方をされない保障はあるのか。分析官の権力が強大になりすぎないのか。そんな疑問を持った。

 というのも最近、立て続けにインテリジェンスに関する新書を2冊読んだ。
ひとつは「諜報機関に騙されるな!」(野田敬生)と、「インテリジェンス 武器なき戦争」(手嶋龍一・佐藤優)だ。野田氏は元公安調査庁、手嶋氏は元NHKでワシントン支局長を務めた元ジャーナリスト、そして佐藤氏はラスプーチンとしてあまりにも有名な”休職中”外務省職員だ。
 この2つの本は、それぞれ違ったアプローチをしているが、諜報のダイナミズムと内幕、さらに限界が描かれていて面白かった。特に野田氏と佐藤氏はそれぞれ”ワケアリ”でそれぞれの官庁から距離をとっているが、それぞれの立場の違いが垣間見れて興味深い。
 野田氏とは直接何度かお会いしたことがあるが、その時の眼光の鋭さは「只者ではない」と感心したことを思い出した。

 そしてもうひとつ思い出したことがある。
 高校時代、友人の1人で“ボス”というニックネームの女の子がいた。別にえばっていた訳ではない、むしろ小柄で友人の面倒見のいい女の子だった。
 ホームルームかなにかで担当教諭が「将来何になりたいか?」という質問をしたことがあった。その時ボスは「エージェント」と言ったのだ。当時エージェントがスパイを表す言葉だとは知らなかった私であるが、後でボスに聞いて「す、すごい。スパイになりたいのか」と妙に感心したことを思い出したのだ。
 ボスはどうしているかなあ。
 いや、風の噂で知っている。ある教育関係の出版社で元気に働いていることを。
 スパイになりたかった女が、教育関係ーー。それも人生なんだなあ。 
 
 P・S もうひとつ思い出した。当時「エロイカより愛をこめて」がクラス中で流行っていたからその影響だったのかもしれない。なんてオチだ。

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