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纏足

足が痛い。仕事のせいだ。
 出社すると女王様が言った。
「今日も社長命令だからね。さあ、早く履いてくれ」
 連日、同じ内容の社長命令が続いている。
 秋のバーゲンで女王様はあるロングブーツを気に入った。しかし試履すると左足は入るものの、右足の甲の部分があたって履けなかったらしい。しかし諦め切れない女王様はそのブーツを購入した。
 そしてそのブーツを私に履けと言う。
<えっ、プレゼント!?>
 喜んで履いてみた。ちょっときつかったが無理をすれば大丈夫。
「あげるんじゃないよ。これを事務所でしばらく履いていて。そうすれば少しは緩くなって履けるようになる。きっと」
 それまでずっと履いていろという。
 1日目。2時間ほどで足と腰が痛くなった。私にしてはかなりヒールが高いため、台所に立つとかなり屈まなくてはならない。床のものを拾うにしても一苦労だ。
「足も腰も痛い」
 そういっても女王様はブーツへの執着を捨てない。
 仕事が終わり、ブーツを脱いだ私は言った。
「今日一日履いていたから、緩くなったかも。ちょっと試して」
 しかし、女王様は履けない。
「ダメだ。明日もね」
 こうして出社するとブーツ姿になることが続いている。もう4日間も。
 それなのに、まだダメらしい。どれだけ太いんだ。お前の足は!
 今日は女王様が外出した際に、ブーツを脱ぎ捨ててしまった。
 辛い。纏足をさせられた昔の中国人女性の気持ちがわかるような気さえしてくる。
 明日ははっきりと言うつもりだ。
「靴擦れでかなり出血している。このまま履くとお前のお気に入りのブーツが血まみれになるだろう」
 そう主張すれば、明日からこの社長命令はなくなるだろう。

 話は変わって、宮部みゆきの「楽園」を読み終えた。
 私は宮部ファンで、彼女の著作を全て読んでいる。
 でも今回、読みえ終えてある違和感を感じた。
 主人公の女性ライターが「書かない」ということを前提に取材活動を行っていることに。「知ったことを書かない」ーー。これを美徳のように描いていることを。
 いくらフィクションでもこれって物書きのスタンスとしてどうなんだろう。

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