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驚愕な出来事


 室井事務所には私の他に2人のスタッフがいる。
 ある日、帰りの遅い女王様の留守をあずかることになったのが唯一の男性スタッフS。
「留守番ついでに、ユウタに漢字の勉強をさせてね。頼んだよ」
 との指令を女王様から受けた。
 そして翌日。
「漢字の練習した?」との問いにSは「もちろん」と胸を張った。
「5分やったよ」
 女王様はその短さにちょっと驚いたが、やらないよりはましだと気を取り直した。
「ありがとう。で、どの漢字を勉強した? ノート見せて」
「いや、ノートはないよ」
「じゃあ、どうやって勉強した」
「トイレに小学1年生が習う漢字一覧表が張ってあるだろう。それ」
「それってーー」
「ユウタにトイレに行って見てくるよう言った。今日は5分間くらい見てたよ」
 女王様と私は絶句してしまった。
 だって普通漢字の勉強ってノートやドリルに漢字を書かせることじゃないの? 小学
1年生に漫然と漢字一覧表を眺めさせただけで、覚えるわけないじゃん。しかも漢字はその書き順だって大切なんだから、書かないと意味がない。
 私たちは顔を見合わせた。しかしスタッフSは私たちが呆れて声も出ないこと事態を理解できないらしい。
「そんなの漢字の勉強になってないだろ」
「そんなに勉強、勉強って可哀相だろ。学校でも勉強してるのに」
 私たちは唖然としてしまった。
「あのさ、おまえのような男にしたくないから、勉強させてるんだけど‥‥。優しく、包容力のあるアタシの会社以外では、まともに働けないようなおまえのような男に‥‥」
 と女王様。それ以上は呆気にとられて話したくないようだった。だから、私が代わりに怒鳴った。アホな男に分かりやすく世の中の真実を教えてやった。
「年金払ってる? 税金の申告してる? してないだろ。お前は負け組なんじゃ~! ユウタをお前と同じような男にしないため、あたしらは頑張っているんじゃーっ! なぜそれが分からない。この負け犬めーー!!」
 Sはキョトンとしていた。アホ過ぎてわからないようなので、質問してみた。
「Sってさ、最近セックスした?」
「いや、していないけど」
 その答えを聞いておもむろにユウタの方に向き、私は高らかに宣言した。
「ほーらね。きちんと勉強しないと、いい交尾ができないんだよ。勉強しろ」
 逆セクハラなある日の室井事務所での出来事だ。

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