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思い出したくない出来事

 ある朝目覚めて愕然とした。
「ここどこ? 私は??」
 昨日のことが徐々によみがえってくる。
 前日の午後6時くらいに仕事を終えた女王様が「ビール飲む?」と聞いてきた。
「うん」
 と答える。この日は6時間以上も煮込んだビーフシチューがあった。これを肴にまずは一杯。この日、私は7時半と9時から仕事が入っていた。
「焼酎飲む?」
 女王様に聞かれ「うん」と答えた。
 待ち合わせの時間までまだ時間があったからだ。
 そして7時半から別の事務所で一仕事。もちろんビールを飲みながら。
 9時。新宿の沖縄料理屋で会合。泡盛をしこたま飲む。
 12時。ロレツの回らない女王様から楽しそうに電話がかかってきた。
「ちょっと、面白いことがあるから事務所にくれば」
 かなり酔っていた私は、「面白いこと」が何かも聞かずに事務所に戻った。
 事務所では女王様と一緒に男A、女Bが酒盛りをしていた。
 「うっひょーー」
 そういって酒盛りに参加する私。
 しばらくすると、部屋のチャイムが鳴った。誰かが誰かを呼んだらしい。
 男2人CとD。
 そしてーーーこの辺から記憶はとぎれとぎれになる。なんだかすごく盛り上がって楽しかったことは憶えている。
 でも内容は全然憶えていない。
 気付くと事務所の床に転がって寝ていた。女王様は既に仕事に行ってしまったようだ。おぼろげながら甦ってくる記憶に頭を抱えていると、女Bから電話がかかってきた。
「ちょっとあんたたち2人、すごかったよ、まったく」
「えっ、何が。よく憶えていないんだな、これが」
 そういうと女Bは昨日のことを喋り始めた。
「室井は初対面のAさんに向かって呼び捨てにして足で蹴ってた。しつこく質問攻めにしたり。カンバはCさんに<おっぱっぴー>のまねをしろって強要してたよ。なんの関係もないのにさ。わけがわからん。まったく、もう」
 お、憶えていない。
「その挙句に2人とも勝手寝ちゃうんだから。AさんもCさんDさんも驚いていたよ」

「き、聞きたくない!!!」
 さらに女王様と私の醜態を話そうとする女Bの話を遮った。
 顔から火が出る思い、とはこういう時に使う言葉なのかもしれない。
 その直後、女王様からも電話が。女Bからの話をしてやった。女王様もほとんど記憶がないという。しばらく絶句していたが、気を取り直したように言った。
「あの女は酒を飲めない。だからかなり話も大袈裟なんじゃない。でもさ、今度Bにリベンジ飲み会のセッティングをやってもらおう。昨日と同じ面子でね。『昨日の私たちの姿は偽りの姿です。今度は本当の私たちを見せます。きちんとした人間、っていうのを証明します』ってね。豪華な食事でも作ってさ」 
 ポジティブな女王様とは対照的に私は思う。
「もう二度と一緒に飲みたくない」
 こう断られるに違いない、と。 

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